子どもの成長過程で、転んだり物にぶつかったりすることはよくあります。その際、歯がケガをすることも少なくありません。特に歯をぶつけたりなどの外傷は、体の他の部位と比べて発生頻度が高く、3人に1人の子どもが経験すると言われる程で、前歯を失う原因の第一位です。
歯のケガは、早期に適切な対処ができるかどうかでその後の経過にも大きく関わってきます。
今回は、子どもが歯を怪我をした時の対処法についてお話しします。
子どもの歯の怪我は程度によって適切な対応が異なります。それぞれのケースに応じた対処法をご紹介します。
【症状】
【対処法】
【症状】
【対処法】
【症状】
【対処法】(歯が抜けた場合)
※再植治療:事故やケガなどの理由で抜けた歯を、再び元の場所に戻す治療法のこと
【対処法】(歯がぐらついている場合)
【症状】
【対処法】
抜けた歯が床や地面に落ちてしまっていた場合は、水で軽くすすぐ程度にし、ゴシゴシとこすらないようにしましょう。洗う時は歯根(歯茎に埋まって見えない部分)を触らず、歯の歯冠(歯茎の上の見える部分)を持ちましょう。
歯を再植できるかどうかは、歯根に付着している「歯根膜細胞」が生きている事が重要です。歯根膜は、乾燥に弱く、歯が抜けてから18分が経過すると生存率が落ちるという報告があります。抜けた歯は出来るだけ乾燥させないようにしましょう。抜けた歯を保存するのに最も良いのは、専用の保存液(ティースキーパー「ネオ」)につけておくか、口の中の元の位置に歯を戻す方法です。これらの方法ができなければ、牛乳か生理食塩水の中に歯を入れて歯科医院に持っていきます。
抜けた歯を水道水に浸けることは避けてください。水道水に長時間漬けると、浸透圧の差で歯の周囲についている歯根膜が破壊されてしまう可能性があります。牛乳や生理食塩水は体液の浸透圧に近いため、歯根膜を守りながら乾燥から守ることができます。
軽度のケガ以外は、できるだけ早急に歯科医院を受診してください。歯が抜けてから時間が短ければ短いほど、もう一度歯を戻して残せる可能性が高くなります。また、ケガをした直後は症状が見られなくても、その後しばらくしてから症状が出てくる場合があります。怪我した後のお子さまの歯に少しでも異変があったり、以下のような状態が見られる場合は、受診をしましょう。
※万が一、転び方で頭を打っているかもしれない場合は、命にも関わります。その場合は、脳外科を優先的に受診しましょう。
歯のケガは、早期に適切な対処ができるかどうかでその後の経過にも大きく関わってきます。歯が抜けてしまったり、完全に折れてしまうような大きい怪我の場合は時間が経っていないほど、歯を残せる確率は高くなります。
また、歯のケガは見た目には大丈夫だと思っても、目で見えない部分がどういう状態になっているかは詳しい検査をしてみないと分かりません。軽度のケガだと思っていても、思ったよりも症状がひどい場合もあります。少しでも気になる事がある場合は、早めに歯科医院を受診することをオススメします。
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記事監修 Dr.中野 純嗣
なかの歯科クリニック
院長 中野 純嗣