
子どもの歯をよく見ると、「歯の表面に白い斑点がある」「部分的に色が違う」「歯が欠けやすい」といった変化に気づくことがあります。こうした症状の原因のひとつとして考えられるのがエナメル質形成不全症です。
見た目の問題だけではなく、虫歯になりやすくなることもあるため、保護者の方が早めに気づくことが大切です。今回は、子どもの歯に見られるエナメル質形成不全症について、原因や症状、治療法、そして家庭でできる対策までわかりやすく解説します。

エナメル質形成不全症とは、歯の表面を覆うエナメル質が正常に作られない状態のことをいいます。歯の一番外側にあるエナメル質は、人の体の中で最も硬い組織です。しかし、このエナメル質が十分に形成されないと、歯の表面が弱くなり、さまざまな問題が起こる可能性があります。
【エナメル質形成不全症の特徴】
特に前歯に白い斑点が見える場合は、保護者の方が最初に気づくケースが多い症状です。
エナメル質形成不全症は、歯が作られる過程で何らかの影響を受けることで起こります。原因はひとつではなく、いくつかの要因が関係すると考えられています。

歯は生まれる前から作られ始めています。そのため、次のような影響が関係することがあります。
ただし、多くの場合は明確な原因が特定できないことも少なくありません。

歯の形成は、生まれてからもしばらく続きます。そのため、乳幼児期の体調も影響することがあります。
これらの影響により、エナメル質が十分に作られないことがあります。

乳歯を強くぶつけた場合、その下にある永久歯の形成に影響することがあります。その結果、永久歯に白い斑点や変色が現れることがあります。
エナメル質形成不全症は、見た目が虫歯に似ていることがあるため見分けることが難しいです。しかし、それぞれには異なる特徴があります。
| 項目 | エナメル質形成不全症 | 虫歯 |
|---|---|---|
| 原因 | 歯の形成異常 | 細菌による感染 |
| 発生時期 | 歯が生える時点で存在 | 生えた後に進行 |
| 痛み | 基本的にない | 進行すると痛む |
エナメル質形成不全の歯は、通常の形状とは異なり溝や窪みがあることが多く、歯の表面が滑らかでなくザラザラしていることもあります。また、見た目の変化だけでなく、エナメル質形成不全症の歯は通常の歯よりも虫歯になりやすいという特徴もあります。特に子どもはただでさえ歯質が未成熟でやわらかく、虫歯が進行しやすいです。そのため、早めの歯科受診が重要になります。

エナメル質形成不全症は、症状の程度によって対応が変わります。

白い斑点のみで歯の強度に問題がない場合は、下記の処置で管理することが多いです。

歯が欠けやすい場合や虫歯リスクが高い場合は、下記のような処置を行うことがあります。
お子さまの年齢や歯の状態によって治療方法は変わるため、歯科医師と相談しながら決めていきます。

エナメル質形成不全症では、歯の表面が酸に弱く通常よりも短時間で虫歯が進行するケースもあります。そのため、虫歯予防がとても重要です。次のポイントを意識しましょう。
フッ素は歯を強くする働きがあり、歯科医院でも推奨されている虫歯予防方法のひとつです。お家でのケアでは、年齢に合ったフッ素濃度の歯磨き粉を使用しましょう。年齢別の推奨濃度と使用量は以下の通りです。
| 年齢 | フッ素濃度 | 使用量 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 歯の生え始め〜2歳 | 1000ppmF | 米粒程度(約1〜2mm) | ジェルタイプがおすすめ |
| 3〜5歳 | 1000ppmF | グリーンピース程度 (約5mm) | うがいは少量の水で1回 |
| 6歳以上 | 1500ppmF | 歯ブラシ全体 (約1.5〜2cm) | 成人と同じ濃度が使用可能 |

仕上げ磨きは「10〜12歳頃まで」が推奨されています。ただし、年齢よりも 「きちんと磨けるかどうか」 が基準になります。小学生くらいまでは、まだ磨き残しが多い時期です。保護者の方の仕上げ磨きが、虫歯予防に大きく関わります。特に以下の部分は磨き残しが多いので注意しましょう。
歯と歯の間は歯ブラシの毛先が届きにくいため、歯ブラシだけでなくデンタルフロスなどのケア用品を併用することも大切です。

エナメル質形成不全症の歯は、定期的なチェックが非常に重要です。歯科医院では、フッ素塗布、歯の状態チェック、磨き方指導などを行うことができます。一般的には3〜4ヶ月ごとの定期検診がおすすめです。定期検診を受けることで、無症状でもお口の中の問題を早期発見することができるため治療の負担を最小限に抑えることができます。

子どもの歯に見られる白い斑点は、エナメル質形成不全症の可能性があります。この状態自体がすぐに大きな問題になるとは限りませんが、歯が弱く虫歯になりやすいという特徴があります。
といった予防管理がとても大切です。お子さまの歯に気になる変化がある場合は、自己判断せず、歯科医院で相談してみましょう。早期に対応することで、大切な歯を守ることにつながります。

当院では患者さま一人ひとりに合わせた栄養指導を行いながら、お口と全身の健康をサポートしています。日頃の食生活やお口の状態で気になることがある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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記事監修 Dr.中野 純嗣
なかの歯科クリニック
院長 中野 純嗣