近年、歯科医療と管理栄養士の連携が注目を集めています。「歯科医院に管理栄養士?」と驚かれる方も少なくありません。しかし、食事とお口の健康は切っても切り離せない関係にあります。
むし歯や歯周病は、歯磨きの仕方だけでなく、普段の食習慣とも深く関わっています。特に歯周病は、見過ごされがちですが、全身疾患のリスクを高める“慢性炎症の入口”とも言われています。そのため、歯科医療だけでなく食事や栄養管理も含めた全体的なケアが必要になります。
本記事では、歯科における管理栄養士の重要な役割についてご紹介します。
「食事」と「歯」は密接な関係があり、バランスの取れた食事は健康な歯を保つために不可欠です。特に、カルシウム、ビタミン、タンパク質などの栄養素は、歯の形成と維持に重要です。また、よく噛んで食べることで唾液の分泌が促進され、口内環境を清潔に保つことができます。このような健康な歯を保つために欠かせない食事に関するアドバイスも管理栄養士であれば専門的な視点からサポートをすることが可能です。
歯科医院で管理栄養士が求められる理由の一つに、お口の健康と全身の健康の関連性が注目されていることも挙げられます。お口のトラブルで栄養状態が悪化すると、むし歯や歯周病などの口腔疾患のリスクが高まるだけでなく、そうしたお口のトラブルが原因で、糖尿病や心臓病などの全身疾患のリスクも上昇することが分かっています。特に歯周病菌は、血液を通して全身を巡り様々な疾患の原因になります。管理栄養士が患者さんの食生活を改善し、口腔内環境を整えるサポートをすることで、むし歯や歯周病の予防、さらには全身の健康維持に貢献します。
患者さんの口腔状態や身体の健康状態を支えるためには、むし歯を治療したり入れ歯を作ったりするだけでなく、歯と栄養の両面からのケアが必要不可欠です。歯科医院において歯科医師・歯科衛生士・管理栄養士が連携して診療を行うことでこの両面からのケアが可能になり、それは患者さんの健康づくり、そしてQOL(生活の質)向上に直結します。栄養状態・健康状態の維持、改善をサポートする管理栄養士は歯科医院にとって需要な役割を担っています。
患者さんの普段の食生活を丁寧に聞き取り、「どんな食べ方がむし歯や歯周病につながりやすいか」を分析します。甘いお菓子のとり方や食べる時間帯、間食の習慣などに注目し、無理のない範囲で改善方法を提案します。
成長期の子どもの歯の健康には、バランスのとれた食事が欠かせません。偏食や間食が多いお子さんに対して、保護者の方と一緒に「噛む力を育てる食材の選び方」や「むし歯になりにくい食習慣」をわかりやすく伝えます。
噛む力や飲み込む力が弱くなった高齢の方には、食事が大きな悩みになります。歯科医師や歯科衛生士と連携し、「安全に食べられるメニューの提案」や「低栄養の予防」などを行います。そして、必要に応じて口腔筋や嚥下(飲み込む)などのお口周りの筋力の改善なども行います。
歯周病は、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病と深い関わりがあります。歯周病の食事指導では、バランスの取れた食事を基本に、歯周病菌の増殖を抑え、免疫力を高める栄養素を積極的に摂取することが重要です。患者さんの全身状態も考慮しながら、必要に応じて血糖コントロールや減塩などの食事指導を行います。
妊娠中は、ホルモンバランスの変化やつわりによって、食事が思うように摂れなかったり、体調の変化に不安を感じたりする時期です。妊娠中の栄養指導は、お母さんと赤ちゃんの両方の健康を守る大切なケアです。管理栄養士が赤ちゃんの成長段階に応じた食事の内容やタイミング、食材選びなどをアドバイスすることで、赤ちゃんの健やかな口腔発達と食習慣の定着を支えることができます。
近年、従来の「治療」中心から、「予防」を中心とした考え方へとシフトしています。その中で、管理栄養士の存在は欠かせません。歯の治療だけでなく、食の専門家である管理栄養士がいることで、患者さんの口腔内の健康から身体の健康に至るまでのトータルケアを実現できます。
【管理栄養士がいる歯科医院のメリット】
今後の歯医者さん選びの際には、管理栄養士が在籍しているかどうかという事も、選ぶポイントの1つとして検討してみてください。
口腔内の健康は、単なる「歯の問題」ではなく、全身の健康と深くつながっています。お口の健康を保つことは、生活習慣病の予防や健康寿命の延伸に役立ちます。管理栄養士と連携する歯科医院で、全身の健康をサポートしていきましょう。
▽以下のようなお悩みをお持ちでしたら、管理栄養士が在籍している歯科医院へのご相談をおすすめします。
なかの歯科クリニックでは管理栄養士が2名在籍しております。当院の管理栄養士についての内容はホームページで紹介しております。
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記事監修 Dr.中野 純嗣
なかの歯科クリニック
院長 中野 純嗣