妊婦さんが気をつけるお口のこと【子供の口呼吸が及ぼす悪影響】

最近、口呼吸をする子供が増えていると言われています。日本では、子供たちの31%が日常的に口呼吸をしており、ほんの僅かに口が開いている状態を含めると、約8割が口呼吸になっているといわれています。

口呼吸の原因は、アレルギー性鼻炎などの鼻の疾患や、やわらかい食事により口周りの筋肉が弱いことなど様々です。口呼吸を放置すると口腔内だけでなく全身の健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、早めに改善することが大切です。

今回は、子供の口呼吸が及ぼす悪影響についてお話しします。

正しい呼吸は鼻呼吸

呼吸には、鼻から空気を取り入れる「鼻呼吸」と、口から息を吸い込む「口呼吸」の2種類があります。正しい呼吸は「鼻呼吸」の状態です。鼻にはいくつもの優れた機能が備わっていて、鼻腔の粘膜には繊毛(せんもう)があり、鼻を通って入って来る空気に含まれているほこりや細菌などの異物を除去するためのフィルターのような役割をします。同時に、吸った空気を温めて加湿し、吐く息を冷却するという役割も持っています。

口呼吸は細菌が体内に取り込まれやすい

口呼吸は、異物を含んだ外気が直接のどへと入り込むため、細菌などの病原体が取り込まれやすくなってしまいます。その結果、風邪やインフルエンザなどの病気の原因となったり、口呼吸によって口の乾燥が起こることで虫歯や歯周病などのお口の病気のリスクも高まってしまいます。細菌やウイルスの感染、虫歯・歯周病、そして乱れた歯並びの予防・改善のためには、口呼吸から鼻呼吸へと移行させることが重要となります。

口呼吸の主な原因

子どもの口呼吸は、鼻詰まりやアレルギー、悪い歯並び、口周りの筋力不足など、様々な要因が絡み合って発生します

慢性的な鼻づまり

花粉症やアレルギー性鼻炎があると、日常的に鼻がつまっている状態が続き、鼻呼吸が難しくなるため自然と口で呼吸する癖がついてしまいます。

◆悪い歯並び

歯並びが悪いと口呼吸になりやすく、また口呼吸が習慣化するとさらに歯並びが悪くなる可能性があります。特に「出っ歯(上顎前突)」や「受け口(下顎前突)」は、口が閉じにくいので口呼吸の原因になることがあります。

◆口周りの筋力の低下

現代の食事は、やわらかい物が多いため噛む必要が少なく、咀嚼(そしゃく)する機会が減少し、筋肉の発達に影響を与えています。その結果、下あごを持ち上げる筋肉や唇を閉じる筋肉、そして舌の筋肉の力が低下して口が開きがちになり、口呼吸になってしまいます。

口呼吸チェックリスト

以下のチェックリストに1つでも当てはまる場合は、口呼吸になっている可能性があります。常に口が「ポカン」と開いている場合は、口呼吸になっている可能性が高いです。

口呼吸が及ぼす悪影響

歯並びが悪くなる

歯並びは口を閉じることで、唇から適切な力がかかっています。しかし、口呼吸は、口を閉じるための筋肉が使われず口周りの筋肉が緩むため、出っ歯や受け口を引き起こしやすくなります。特に子供の場合は、骨格にも影響が出やすいため注意が必要です。

虫歯や歯周病のリスクを高める

口呼吸の場合、口の中が乾燥しやすく、唾液の量も減少します。唾液には歯や歯茎についた細菌を洗い流す作用(自浄作用)や、虫歯や歯周病菌の増殖を抑える作用(抗菌作用)があります。唾液の分泌が不足すると、それらの作用が低下し、口内に菌が増殖しやすくなります。これが、虫歯や歯周病のリスクを高める原因となります。

口臭が強くなる

口呼吸により唾液が減少すると、唾液の自浄作用が弱くなり、食べ物やプラークが歯間に残りやすくなったり、口内が乾燥して細菌も増殖しやすくなります。お口の中にいる細菌は、口内の食べかすを分解する時に、悪臭の原因となるガスを放出するため口臭の原因になります。

風邪を引きやすくなる

人間の鼻は、鼻毛や鼻の粘膜が外から吸い込む空気中のウイルスや病原菌、さらにアレルギーを引き起こす可能性のある物質をキャッチし、それらが体内へ侵入するのを防ぐ働きをしています。しかし、口を通じて直接空気を吸い込む口呼吸の場合、鼻の機能が働きません。その結果、ウイルスや細菌が直接気管を通って体内に入り込むリスクが高まり、風邪やインフルエンザをはじめとする感染症にかかりやすくなってしまいます。

口呼吸を治す方法

鼻づまりが原因の場合

花粉症やアレルギー性鼻炎などで鼻がつまると、鼻で呼吸がしにくいため口呼吸が習慣化しやすくなります。この場合は、歯科ではなく耳鼻咽喉科を受診しましょう。鼻の疾患や呼吸器系の問題を専門的に診断・治療できます。

歯並びが原因の場合

口呼吸が習慣化している場合、歯並びの問題が原因であることが多く、特に出っ歯や受け口は口を閉じにくくします。矯正治療によって歯並びを整えることで、口が閉じやすくなり、鼻呼吸がしやすくなる可能性があります。子供の早期矯正治療についてはこちらをご覧ください。

口周りの筋肉が低下している場合

口周りの筋肉が低下している場合は、小児矯正には欠かせない口腔筋機能療法(MFT)という、口周りの筋肉を鍛え、舌の適切な位置を習得するトレーニングがあります。MFTのトレーニングには様々な種類がありますが、そのうちの一つである「あいうべ体操」は口呼吸の改善にお勧めです。

あいうべ体操

口と舌の筋肉を鍛えることで、口呼吸の癖を改善し、正しい呼吸法を促進します。

  1. 「あー」:口を大きく開ける。
  2. 「いー」:口を横に広げる。
  3. 「うー」:唇をすぼめて前に突き出す。
  4. 「べー」:舌を下に伸ばす。

1〜4の動作を1日に30回を目安に繰り返し行い、1セット10回、1日3セットを目標に行いましょう。あいうべ体操は、口呼吸の改善に加えて、顔の表情筋を鍛える効果も期待できます。ぜひ、お子さまと一緒にトレーニングしてみてください。

まとめ

口呼吸を続けていると、虫歯や歯周病などの問題だけでなく、ウイルスや細菌が直接気管を通って体内に入り込むため全身の健康にも影響します。今回ご紹介した口呼吸のチェックリストに当てはまらないか、お子さまの呼吸を注意深く観察してみてください。

口呼吸の状態が長期間続くと治すのが難しくなるだけでなく、特に子供の場合は、骨格にも影響が出やすいため注意が必要です。もし、口呼吸が習慣になっていると気づいたら、早めに耳鼻咽喉科または小児歯科に一度相談しましょう。

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記事監修 Dr.中野 純嗣
なかの歯科クリニック
院長 中野 純嗣

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