虫歯予防と聞くと、歯みがきや歯科検診を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
もちろん、それらは虫歯予防に欠かせない大切な習慣です。しかし実は、「毎日の食事」が虫歯予防の第一歩となることをご存知でしょうか。今回は、食育の観点から、虫歯になりにくい食習慣や、家庭で取り入れたいポイントについてご紹介します。
食育とは、単に「栄養バランスの取れた食事をしましょう」という話ではありません。「どんな食べ物を、どのタイミングで、どのように食べるか」を学ぶことも、食育の大切な要素です。特に子どもたちは、乳歯から永久歯への生え変わりの時期を通して、正しい食習慣を身につけることで、生涯にわたって健康なお口を維持しやすくなります。
虫歯は、虫歯菌が糖分を分解して酸を排出し、これが歯のエナメル質を溶かすことで虫歯が進行します。たとえば、1日中ダラダラとお菓子を食べていると、口の中が常に酸性になり、歯の表面が溶けやすくなります。食べる頻度やタイミングも虫歯のリスクを大きく左右します。
ながらで食べる・飲むことは、常に口の中を酸性にさせ、虫歯のリスクが高くなってしまいます。虫歯リスクを減らすためには、「ダラダラ食べ」をやめることが重要です。
子どもには「おやつ=第4の食事」と捉えて、栄養のある軽食を用意するのがおすすめです。
噛むことで唾液の分泌が促進され、口の中の汚れを洗い流してくれます。また、よく噛むと満腹感も得られやすく、間食を減らすことにもつながります。
【よく噛む食材の例】
「30回噛んでから飲み込もうね」と声をかけるのも効果的です。
就寝中は唾液の分泌が減少し、虫歯菌が活発になります。寝る前の糖分摂取は避け、特にジュースやスポーツドリンクには要注意です。「寝る前はお水かお茶だけにする」などのルールを決めましょう。
これらのおやつは、糖分が多く虫歯菌のエサとなりやすいため注意が必要です。特に、キャンディやキャラメルなどの砂糖を多く含んでいて長時間口に入れるものは歯を溶かし続けてしまうため、お菓子の中でもリスクが高いです。
特徴 | 理由・説明 | 例 |
---|
糖分が多い | 虫歯菌のエサになり、酸を作り出して歯を溶かす | チョコレート、グミ |
歯にくっつきやすい | 歯にくっついて長時間糖分が残る | クッキー、ドーナツ、ケーキ |
食べるのに時間がかかる | 口の中が酸性の時間が長くなり、虫歯リスクが上がる | キャンディー、キャラメル |
◉カルシウムを含んでいる食べ物・・・川魚や牛乳・チーズなどの乳製品、納豆や木綿豆腐など
カルシウムは、歯を作っている象牙質(エナメル質の内側にある組織)の主要な成分です。カルシウムを摂取しなければ象牙質はもちろん、骨がもろくなってしまいます。
◉ビタミンAが多く含まれる食べ物・・・レバー、うなぎ、にんじん、ほうれん草など
ビタミンAは、歯の一番外側の部分である、エナメル質を丈夫にします。
◉ビタミンCが多く含まれる食べ物・・・緑黄色野菜、いちご、キウイ、グレープフルーツなど
ビタミンCは、高い抗酸化作用を持ち、カルシウムと結びついて歯を強くしてくれます。
◉フッ素が含まれる食べ物・・・ワカメ · めざし · 海苔 · 牛肉 · 緑茶など
フッ素は、歯のエナメル質の再形成を促す成分です。自然の食べ物にも含まれています。
虫歯になりにくいおやつは、糖分が少なく、短時間で食べられたり、歯にくっつきにくいものです。天然素材の甘味料であるキシリトールは、虫歯菌(ミュ―タンス菌)の活動を弱め、徐々に減少させる働きがあります。 おやつを選ぶ時は、砂糖の代わりにキシリトールを100%使用したガムやタブレットをぜひ取り入れてみてください。
【おすすめのおやつ】
子どもに「虫歯にならない食べ方」を教えるには、家庭での実践が一番の近道です。「一緒に食べる」「一緒に選ぶ」「一緒に考える」ことで、無理なくお口にやさしい習慣が身につきます。親子で一緒に取り組むことで、子どもも自然と意識するようになります。
《虫歯予防のためのアドバイス》
虫歯予防は、歯みがきだけでなく、毎日の食事の中にも大きなヒントが隠されています。正しい食習慣を身につけることで、子どものお口の健康はもちろん、全身の健康にもつながります。
親が楽しみながら正しい食習慣を実践することで自然と子供にも身についていきます。ぜひ今日から、家庭でできる小さな一歩を始めてみませんか?
なかの歯科医院では、管理栄養士による食育に関するアドバイスや虫歯予防の相談も受け付けています。
気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。
▷▶︎▷詳しくはこちらをご覧ください。
記事監修 Dr.中野 純嗣
なかの歯科クリニック
院長 中野 純嗣