永久歯への生え変わりの時期に気をつけることとは?

身体の成長にともなって顎も成長し、お口の中でも「乳歯」から「永久歯」への生え変わりの時期に入ります。生え変わりの時期は、お口の状態も変化していくため不安定になりやすいです。

今回は、永久歯の生え変わりの時期に気をつけることについてご紹介します。

まず初めに、永久歯の生え変わりの時期についてお話しします。

永久歯へ生え変わる時期

一般的には、6歳頃まず下の前歯の永久歯が生えてきます。 それとほとんど同時に、「第一大臼歯(6歳臼歯)」が生えてきます。 そして9歳ごろに、前歯と奥歯の間にある犬歯などの歯がだんだん生えかわります。基本的には前歯から奥歯にかけて生え変わり、13歳前後に、親知らずを除く28本の永久歯が揃います。それ以降に、人によっては「親知らず(第三大臼歯)」が生えてきます。

生えかわりには個人差がある

6歳ごろに永久歯への生えかわりがスタートして、12歳くらいで全ての乳歯が抜けて生えかわっていき、永久歯への生えかわりのスピードは男の子よりも女の子のほうが早い傾向があります。しかし、生え変わりは個人差が大きく1年以上のずれがあることも珍しくありません。生え変わりの時期は、あくまでも目安なのでこの通りにいかなくても全く焦る必要はありません。気長に生え変わるのを待ちましょう。 しかし、明らかに生えてくるのが遅かったり、乳歯が全然グラグラしてこない場合などは、歯科医院でみてもらったほうがいいかもしれません。気になる方は、6歳以降を目安に小児歯科でレントゲンを撮って永久歯を確認することもできますのでご相談ください。

永久歯の生え変わりの時期に気をつけること

乳歯の虫歯をそのままにしない

乳歯は永久歯が生えることで役目を終えますが、乳歯が全て永久歯に生え変わるまではきちんと役割を果たしています。例えば、乳歯が虫歯になり永久歯が生える時期よりも早くに虫歯で乳歯を失ってしまうと、抜けた両隣の歯が傾斜して永久歯が生えるスペースを狭くしてしまいます。その結果、永久歯が正しい位置に収まらず、ガタガタの歯並びになってしまったり、永久歯が生えてこられなくなることがあります。また、乳歯が虫歯になることで、後から生えてくる永久歯も虫歯のリスクが高くなる可能性があります。さらに、乳歯の虫歯がひどくなり歯根の先まで炎症が広がると、生えてくる前の永久歯にダメージを与えてしまう場合もあります。

第一大臼歯(6歳臼歯)は虫歯になりやすい

一番奥の乳歯の後ろから新たに「第一大臼歯(だいいちだいきゅうし)」が生えてきます。この第一大臼歯は6歳ごろに生えてくるので、「6歳臼歯」ともいわれています。永久歯の中で一番大きく、噛み砕く力がもっとも強く、永久歯の歯並びやかみ合わせの「基本となる歯」です。六歳臼歯は完全に生えるまでに約1年かかるので、その間は手前の乳歯より背が低く、磨きにくいためとても虫歯になりやすいです。また、歯の噛み合わせ面には深くて複雑な溝があるため、物理的に磨き残しが停滞しやすいことも理由の一つです。

生え始めは歯質が未熟で虫歯になりやすい

永久歯は、生えてから2~3年間は「幼若(ようじゃく)永久歯」といい、根っこが完全に出来上がっておらず、歯の表面が十分に硬くなっていません。そのため幼若永久歯は虫歯になりやすく、一度なると急速に進行してしまいます。ゆっくりと時間をかけて唾液中のカルシウムなどのミネラルが少しずつ歯に入り込んでいくことで、徐々に通常の永久歯の硬さと強さになっていきます。生えて間もない幼若永久歯の虫歯には十分注意しましょう。

永久歯の生え方が気になる場合は歯科医院へ

以下のような場合は、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。

「永久歯が生えてきたのに乳歯が全くぐらついてない」、「永久歯が生えて数ヶ月経っても乳歯が抜けない」ケースでは、永久歯の卵がある位置が乳歯の真下からズレている可能性があります。その場合は、乳歯の根っこが溶けることがなく、乳歯は自然には抜けないため注意が必要です。

グラグラした乳歯を無理に抜かない

抜けそうな乳歯がある時は、どうしても気になりますが、無理に抜くのはリスクが高いです。グラグラしているけどまだ抜けないという場合は、乳歯の歯根があごの骨(歯槽骨)の中でまだ一部残っている状態です。この状態から無理に抜こうとすると、乳歯が途中で折れるというトラブルになります。乳歯が抜けそうになっているときは、乳歯が抜けるのを自然に待つようにしましょう。もし、お子さまが気になってご飯を食べる時に痛がったり日常生活に支障が出たりする場合は、無理に抜こうとせず歯科医院で診てもらいましょう。

生え変わりの時期にできること

仕上げ磨きを念入りに行う

これまでお話ししたように永久歯の生え始めは歯質が弱く、虫歯になりやすいです。また、歯並びが複雑で磨きにくく汚れが残りやすいです。永久歯が生え終わった頃には、すでに虫歯になっている事も珍しくありません。この時期の仕上げ磨きは念入りにしてあげましょう。特に「第一大臼歯(6歳臼歯)」は、生えてきたことに気づきにくく、生え始めは他の歯より背が低いので歯ブラシが届きにくいため、汚れや食べかすが残りやすくなっています。歯ブラシが届きにくい場所は、歯ブラシを横から入れて磨くと毛先が届きやすくなります。

フッ素塗布やシーラントで虫歯予防

生え変わりの時期は、いつもお口の中のどこかに「虫歯になりやすい歯」があることになるため、積極的に虫歯予防をしましょう。歯科医院の虫歯の予防処置としては、フッ素塗布やシーラントなどがあります。

フッ素は生えたばかりの歯に塗布するのが、最も効果的です。乳歯でも永久歯でも生えてすぐの歯はフッ素を多く取り込みやすいので、生え変わりの時期に塗布しておく事がオススメです。フッ素塗布の頻度は3カ月から6カ月に1回、できれば14歳から16歳くらいまで継続するのが理想です。

シーラントは、奥歯の歯の噛む面の溝にプラスチックのようなものを埋めることにより、歯の溝の部分に出来る虫歯を予防する処置です。虫歯予防効果について行われた研究結果によると、シーラント後4年以上で約60%もの虫歯予防効果が認められるということがわかっています。

乳歯の虫歯は早めに治療をする

乳歯の虫歯をそのままにしておくと、永久歯のかみ合わせや歯の質に悪い影響が出てくる可能性があります。虫歯菌が歯の神経にまで到達してしまうと、奥深くで細菌が増殖し、その付近にいる永久歯の成長を阻害し、茶色い永久歯となって生えてくる場合があります。乳歯も永久歯と同じくらい大切な歯です。乳歯は抜けるからと虫歯をそのままにせず、できるだけ早めの治療をしましょう。

乳歯の虫歯については以下でも紹介しています。よければチェックしてみてください。

乳歯の虫歯は永久歯にも影響を与えるって本当!?

乳歯の虫歯の特徴となりやすい場所とは?

まとめ

永久歯の生え始めは幼若(ようじゃく)永久歯といって歯質が弱く虫歯になりやすい状態です。特に第一大臼歯(6歳臼歯)は歯並びや基本となる重要な歯のため念入りなケアが必要です。お口の状態が安定するまでは保護者の方も一緒になってお子さまの口を守っていきましょう。

歯科医院でのプロフェッショナルケア、ご自宅でのセルフケアを両立をして永久歯だけでなく乳歯も「虫歯0」を目指して健康なお口を保っていきましょう。お口の中のことや、生え変わりの時期で気になることがあればいつでもお気軽にご相談ください^^

記事監修 Dr.中野 純嗣
なかの歯科クリニック
院長 中野 純嗣

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