
冬は風邪やインフルエンザが流行しやすく、体調を崩しやすい季節です。「外出を控える」「手洗い・うがいを徹底する」などの対策は多くの方が実践していますが、実は “歯みがき”も感染予防に役立つ習慣のひとつ だと注目されています。
特にお子さまやご家族全員の健康を守りたい方にとって、口腔ケアの質を高めることは大切なポイントであり、
さらに管理栄養士の視点では、食事からの免疫ケアと歯みがきは相乗効果が期待できます。
今回は「なぜ歯みがきが感染予防につながるのか」を、歯科×栄養学の専門知識をもとにわかりやすく解説します。

口腔内には700種類以上の細菌が生息しており、その中には、風邪やインフルエンザウイルスが付着しやすい種類もあります。口の中の汚れが溜まった状態は、感染リスクの上昇につながる可能性があります。そのため、歯みがきでプラーク(細菌の集合体)を落とすことは、口の中の細菌環境を健康的に保つための基本的なステップです。
近年の研究では、歯周病菌をはじめとする口腔内細菌が全身の炎症反応に関与する可能性が報告されています。慢性的な炎症は免疫の働きを弱める要因になるため、日頃から口腔内の細菌量をコントロールすることは、冬場の体調管理にも役立つと考えられています。
口の中には細菌が多く生息していますが、特に舌の表面はザラザラしているため、汚れや細菌が溜まりやすく、一説には口の中の細菌の6割が舌に生息していると言われています 。歯磨きと一緒に舌みがきで汚れや細菌を除去することで、口腔内のウイルスの付着を抑制する効果が期待できます。
歯みがきで“入口”の状態を整え、食事で“免疫の土台”を整えることが、冬のトータルケアでは重要です。ここでは管理栄養士の視点から、免疫アップのために取り入れるべき栄養素をご紹介します。

ビタミンCは白血球やリンパ球といった免疫細胞の働きを助け、病原体と戦う能力を高めます。体調を崩しやすい冬場は、ビタミンCを積極的に取り入れましょう。

タンパク質は、免疫細胞や抗体を作る材料となるため、免疫力を維持・向上させるために不可欠です。また、歯の健康にもタンパク質が不可欠で、特に歯の主要な構造である象牙質や歯ぐきを形成するコラーゲンの材料となります。

免疫細胞の多くが腸に存在しているため、腸内環境は免疫と密接に関係します。発酵食品を日替わりで摂ることで、腸内の善玉菌をサポートできます。また、発酵食品には口内の善玉菌を増やし、悪玉菌(むし歯菌、歯周病菌など)の増殖を抑える効果が期待できます。

ビタミンAは粘膜の健康維持に深く関わる栄養素です。歯ぐき、頬の内側、唇、口の中の粘膜はビタミンAが不足すると弱りやすくなります。普段の食事にビタミンAを多く含む食材を取り入れて粘膜バリアの強化をしましょう。

◆朝起きてすぐの歯みがき
寝ている間は唾液量が減るため、細菌が増えやすい状態です。冬は睡眠中に口が乾燥しやすく、朝起きたときの口腔細菌量は通常より増えやすくなります。朝起きてすぐの歯みがきは、口腔内の細菌を減らすための効果的なタイミングです。
◆就寝前の丁寧なケア
冬の夜は唾液量がさらに減り、細菌が増えやすい状態になります。そのため 夜のケアは“質” が大切です。デンタルフロスや歯間ブラシの併用で、歯ブラシの毛先が届きにくい箇所も丁寧に清掃する習慣をつけましょう。
◆舌のクリーニング
舌の表面には「舌苔(ぜったい)」と呼ばれる白い汚れがつきます。特に冬は口が乾燥するため、舌の表面に白い汚れ(舌苔)がつきやすくなります。舌苔は細菌の温床になりやすいため、舌専用ブラシで優しくケアしましょう。舌を傷つけないように強くこすりすぎないことがポイントです。

冬は1年の中で最も口腔環境が悪化しやすい季節です。その理由は、気温低下だけでなく「免疫の低下」「乾燥」「生活リズムの変化」が重なるためです。自宅ケアでは落としきれない汚れを除去し、口腔環境を整えることで、より健康的な冬の過ごし方をサポートできます。
【歯科医院でのプロフェッショナルケアを行うメリット】
3ヶ月に1度を目安に歯科医院でのプロフェッショナルケアを受けることでお口の異常を早期発見・治療をすることができます。

冬の体調管理では、下記の二つが大きな役割を果たします。
①口腔内の細菌環境を整える(歯みがき・舌みがき)
②栄養バランスで免疫の土台を整える(食事)
毎日の口腔ケアを丁寧に行いながら、冬ならではの栄養ポイントを押さえることで、ご家族の健康を守る“感染予防体制”を整えていきましょう。

当院では患者さま一人ひとりに合わせた栄養指導を行いながら、お口と全身の健康をサポートしています。日頃の食生活やお口の状態で気になることがある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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記事監修 Dr.中野 純嗣
なかの歯科クリニック
院長 中野 純嗣